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12/24/2023, 6:27:29 AM

「誓う、心の友にて」先月、机の引き出しの中を整理していると、一枚のハガキを見つけた。 2015年、今は亡き尾崎泰弘さんからの年賀状。淡路島生まれの現代美術作家であり、奥様とNafshaというカフェをされていた。 2012年から2013年。当時住んでいた会社の寮から自転車で30分。よく一人でNafshaに通った。ケーキを食べ、本を読み、尾崎さんと話した。あまり自分のことを自分から話す方ではなかった。まず私が興味があること、やりたいことをよく聴いてくれた。うなづき、ようやく静かに語り始める。ご自身が影響を受けた人物、音楽、本について。遠くを見つめるように、時に目を閉じながら。「君はこれが好きかもしれんなー」そう言って本やCDを薦めて下さることもあった。穏やかで優しく、決して偉ぶらず。言葉が煙のようにカフェを漂う。いつも時間があっという間に過ぎた。一度だけアルバイトをお願いされたことがあった。忙しいランチタイムで、その時私はお皿を洗っていたと思う。少し離れた所で尾崎さんはプレートの盛り付けをされていた。「お父さん、ダメよ…」奥様に最後の仕上げをダメ出しされていたようだ。彼は何も言い返さず、そっと料理を盛り付け直していた。いつも人がひっきりなしに訪れ、宇宙や縄文、様々な創作をされ、私にとっては初めて会う本物の芸術家、雲の上のような存在の人。でもその時は、母親に叱られて押し黙る少年のように見えた。皿洗いの後、奥様が出してくれた温かな賄いを食べながら、「スゴイ人であり、フツーのダンナさんでもあるんだな」と妙に安心し、より親しみを感じたことを憶えている。「今年は再会しましょう」の賀状を頂いたその年の末。尾崎さんはお亡くなりになられた。私は島外に住んでいた。その悲しい知らせを、ただ呆然と聞くことしかできなかった。あの頃は、文章を仕事にしようとは思ってもいなかった。自分が後に淡路島で暮らし、子育てをするということも。また会って、一度読んでもらいたかったと思う時もある。しかし、その言葉、魂とも言うべきか。心の友となって、今もあたりを漂っている。 ------------------------- （略）　ヤノベケンジ、中原浩大、村上隆といったアーティストが活躍しています。彼らを見ていると、必ず人目を引く個性がありますね。つまり、「人がやっていることを、自分はやりたくない」とか、アートの力を信じ「自分にしかできないことをやりたい」という強い意志がある。そうであるからこそ、人に何かを伝えたり、感動を与えることができると思う。また芸術家は、「自分はこのために生まれてきたんだ」というモチベーションをどれだけ持ち続けることができるかということも重要です。　時々、「どうしたらアーティストになれるんだろう」と考える人がいますが、それは考えても仕方のないことです。「アーティストになりたい」ではなくて、「自分がアーティストだ」と思えば、その人はもうアーティストなんです。誰かに決められることではなく、本人の意識の持ち方の問題です。時には、アーティストである自分を演じることに疲れることもあるし、自分を追い込む時だってあります。でも、そこで逃げたら、それはもうアーティストではありません。アーティストである自分と、真正面から向き合い続けていかないと。もちろんそれだけでなく、純粋な気持ちで楽しむことも重要ですけどね。　（中略）いつも前向きに夢を見続けることが、自然治癒力を高めることに繋がり、無邪気な気持ちで何かに夢中になることによって、邪気を寄せ付けないのだと思います。僕の作品のコンセプトも「子供の頃の夢に真剣に取り組む」ことなので、真剣に、楽しく、夢中になって生きていきたいです。これからも心の友、淡路島で、いい作品を作り続けていきたいと思います。発明工房　尾崎泰弘さん「気持ちひとつで、誰でもアーティストになれる」（『Art.』神戸学院大学地域研究センター、2012年、p29-30） #nafsha #cafenafsha#発明工房#尾崎泰弘#ナフシャ#現代美術#淡路島アート#縄文#アーティスト#英語日記#淡路島 #awajiisland #awajishima #ozakiyasuhiro #englishdiary